自堕落な生活を続けてきた木名句斎。山野草を求めて歩き回るにしても、体力が持たないような気がしていた。
そこで、体と心のリハビリを兼ねて、ちょっと歩いてみようと思い立った。ただ、街中は人目もあるし面白い物もないだろう。
そこで、近くにふんだんにある大自然の中でトレーニングを始めることにした。
まず最初に選んだのは、自宅近くのダム。比較的新しいダムで、できた頃はバスを釣りに行って爆釣だったが、
最近はあまり釣れないし、飲料水(木名句斎も飲んでいる)なのでワームの使用ができない。遠くから来る人達は、無視して使っているけどね。
ここはダムを徒歩で一周できるようになっていて、最初のトレーニングとしては、うってつけのように思えたからだ。
2013年3月22日、午前10時10分に歩き始めた。一応、安物だがトレッキングシューズを履いて、リュックには着替えやタオル、飲み物、カメラを忍ばせてある。
ハイカーにあるまじき軽装だったが、昔は野山を駆け回っていたし、超楽天的性格なので「なんとかなるべ」精神で出発した。30分もかからないコースだし、オール舗装道路。
脂肪の燃焼が始まる前にゴールを迎えられそうだと思っていた。
しかし歩き始めて5分、好奇心旺盛な木名句斎は、
こんなものを見つけてしまう。
彼にとっては、入ってくださいって言っているのと同じだ。何の躊躇もなく分け入った。クヌギやナラの雑木林で、
足元にはシダがびっしりだった。
岬らしきところに出て戻ろうとしたら、道を見失ってしまった。
まあ、いざとなったらiPhoneのGPSやコンパスがあると思って見てみたら、なんとここは圏外だった。それでも天気がよかったので、
太陽と時刻を頼りに元の道に戻ることができた。
ちょっと進むと
分かれ道が現れた。左はダムを一周する周回コース、右は・・・知らん。
人生の岐路でことごとく誤った選択をしてきた木名句斎は、少々逡巡した後右に進路をとった。山側には
こんなものが転がっていた。
分かれ道のところにあった公園の
桜が綺麗だった。隣にはアセビも咲いていたよ。
馬酔木と書くんだってね。検索してみると面白いかも。
ちょっと進むとまたもやに
分かれ道。右に行くと広場のような場所で、行き止まりかと思ったら・・・山へ入る
細い小路を発見してしまった。
なんか
ヤバイ気がしてきたんですけど・・・。最悪、戻ればいいか?ちょっと探検気分で道と呼べるかわからない道を進んでいった。
方角が北東方向だったので不安だったが、いざとなったら南へ行けばダムへ出るはずだ、などと思ってずんずん進んだら、かすかに水の音が聞こえてきた。
音を頼りに行ってみると小さな沢が流れていた。しかし、下りるには
危険が危なすぎる。
どういう思考回路でそうなるのかはわからないが、下りる決意をした。というよりも落ちた。沢の水は
とってもきれいだったが、アメンボウしかいなくてちょっとガッカリ。
下りたはいいが上がれそうもない。水の行き先はダムなのだろうから、沢を下ることにした。トレッキングシューズを履いてきてよかった。
とにかく滑るのでゆっくりと沢を下った。なんとか
上れそうなところを発見するのに10分ほどかかっただろうか?
戻ろうとしたら
シカのヌタ場を見つけた。写真ではわかりにくいかもしれないが、
これは間違いないだろう。
整備された道では一方通行や入れない道があるが、山の中なら頑張ればどの方向にだって進める。大汗を流しながら
元の場所に戻ったときは、午前11時30分ぐらいだった。
先ほどの分かれ道を左に進むと、未舗装ではあるが歩くには十分な整備がされていた。
なんでこっちを選ばなかったのか・・・。
看板らしきものを見つけた。一応
ハイキングコースのようになっているのか?
いつかはクラウン、いつかは健脚コース!そんなことを考えながら進むと、もうすぐ終わりの
木蓮と今が盛りの
桜が隣り合って咲いていた。
なんか感慨深かった。
彷徨えど彷徨えどコースの指示板らしきものがない。
展望台と書いた看板があったが、もう登りたくない。だって体は、とっくに千代の富士だったんだもん。
こっちもかよ。無視して進んだら、
Oh My God!どこに行ったらいいのかさっぱりわからない。ちゃんとにコース表示をすれば、もっと人がくるんじゃないですかね。
韓国語でネイティブとコミュニケーションが取れる木名句斎は、
バイリンガルというのでしょうか?
ただひとつの収穫は、沢の溜りで去年産まれたと思われる
ウグイの稚魚を見つけたことだろうか?親はどこにいるのだろう?釣り上げたい。
諦めてダムの周回コースに戻ると時刻は12時30分だった。2時間以上も歩き回ったことになる。疲れ果てた自分をセルフタイマーで
撮ってみたが、Tシャツがめくれてパンツが丸見えだった。
ちなみに数人のハイカーに会ったが、半袖は木名句斎ただ一人だった。最後の最後に夏雲広場なるところで桜を撮っていたら、
ハチが飛んできてカメラにおさまった。決して狙って撮ったのではなく、神がくれた偶然の産物だ。
車に戻ったときはヘトヘトで、
こんな時刻だった。
・・・おしまい・・・